概要
環境の変化
ダンジョン探索という目新しいキーワードはあるものの、根本的には『基本セット』として分かりやすいクリーチャーによる戦闘を中心としたリミテッドといえる。
2マナ圏のクリーチャーが優秀な白・黒・赤の3色の組み合わせが人気で、特に黒赤は今回のリミテッド環境では1つ頭が抜けている存在となっていた。
ただし環境理解が進んでくるとパワー3への対策などが浸透し、現在は比較的様々な色のデッキが見られる環境へと変化してきたと感じる。
各種キーワードやポイント
D20を振る
D&Dコラボらしい20面ダイスを振るメカニズム。
ダイスを振り出た結果で得られる効果が変わり、基本は1~9が低い効果 10~20が高い効果となっている。
確率的には低い効果が45%、高い効果が55%と実は五分五分ではない。
ピクシーの案内人
やバーバリアン・クラス
といったカードは複数個ダイスを振ることができるようになり、例えば『2個ダイス振ったとき、高い効果が出る確率』は79.85%となる。
集団戦術
攻撃時、アタックさせたクリーチャーの『パワーの合計が6以上』の場合に誘発する効果。
パワー3が2体、パワー2とパワー4、装備品で単体のパワーを無理やり6に上げて…など、達成する道筋はいくつかあるが、どのような構成で達成するかは考えてデッキ構築したい。
誘発させるために複数体で攻撃する必要が生じて、多少無理な攻撃になることもあるため、雄牛の筋力
などのコンバットトリックは複数枚欲しいところ。
クラス
レベルを上げることで効果が増えるエンチャント。
レベルアップはソーサリータイミングで行われるため、場にあるだけで効果があるものが使いやすい。
中でもライフゲインシナジーのあるドルイド・クラス
やクレリック・クラス
、 ダイスシナジーのあるバーバリアン・クラス
がアンコモンの中では使いやすい。
低マナ域のクリーチャー
フォーゴトン・レルム探訪のリミテッドにおいて重要な要素となるのが2マナ域のクリーチャーだ。
条件付きで先制攻撃がつく3/1のホブゴブリンの隊長
をはじめ、絆魂の不動のパラディン
、マナがかからずに生け贄に捧げることが可能な墓所のグール
といい優秀なコモンの2マナ域のクリーチャーが多数存在する。
優秀な2マナのクリーチャーや装備品が多く集まっていて、白黒赤の3色は低マナから始まるアグロ戦略が強くて人気だ。
対して青と緑は、軽めのクリーチャーや装備品において質が少し落ちる。
そのためタフネスが4ある隠し扉
や接死のあるアンダーダークのバジリスク
は、受けの選択肢としては有用。
ダブルシンボルのカード
今回のセットではダブルシンボルに強力なカードが多く存在する。
そのためデッキ構築によっては2色でまとめたとしても、土地事故に見舞われたりするリスクがある。
対応策としてはサブカラーではダブルシンボルのカードを少なめにすることや、ダンジョン探索の占術や宝物トークンなどで事故を緩和することが可能だ。
ダンジョン
フォーゴトン・レルム探訪のメカニズムにおいて最も特徴的なのがダンジョンだ。
各ダンジョンはそれぞれ特徴があり、一度足を踏み入れたら踏破するまでは他のダンジョンに入ることができない。
リミテッドにおいてもダンジョン探索は頻繁に行われ、色の組み合わせや状況に応じてどのダンジョンを訪れるかが重要となっている。
以下ではそれぞれのダンジョンについて特徴を紹介していく。
ファンデルヴァーの失われた鉱山
通称『通学路』。
全4フロアで構成されていて、迷ったらここを探索すれば間違いないと言われている。
全ての部屋の効果が基本的にメリットで構成されており、1つ1つの効果自体はそこまで強力ではないが周回のしやすさと直接盤面に関与できる効果が多いことから断トツで選ばれるダンジョン。
3つ目の部屋は3種類あるが、2つ目の部屋での選択次第で選べない部屋もあるため、次に進む部屋も考えて選びたい。
『鉱山のトンネル』は2部屋目とそこまで深くないため、宝物・トークンで色マナサポートが必要な多色デッキでは計算に入れやすい。
魂を喰らう墓
最短3フロアで踏破が可能なダンジョン。
最終の部屋以外は自分にもデメリットが及ぶこともあるので、状況を選ぶダンジョンといえる。
1部屋目の『罠のある入り口』をはじめライフルーズ効果のある部屋が多いため、こちらが押している状況や相手のライフを攻めている状況では選択肢に入る。
2部屋目の『土牢』はショートカットのため自分へのデメリットしかない。しかし、相手の除去エンチャントがついたクリーチャーを生け贄に捧げたり、後半土地が余っている状況ではほぼデメリットなしで探索できることも覚えておきたい。
狂える魔道士の迷宮
どのダンジョンを探索すべき?
即座に占術を行えるファンデルヴァーの失われた鉱山
は、土地や除去を探しに行く状況が多いリミテッドでは特に優先されやすい。
ファンデルヴァーの失われた鉱山
の2部屋目の1/1トークンor宝物トークンの2択も、盤面を支えるorマナ加速と選択でき戦線を構築しやすい。
その他のダンジョンを選ぶ場合についてだが、ライフを攻めているなら魂を喰らう墓 、継続的に探索が可能で比較的ロングゲームになりそうな場合は狂える魔道士の迷宮 が選択肢に入ってくる形になる。
勝率を上げるために
低マナ圏への対策を考える
具体的には、序盤に出されたホブゴブリンの隊長
や装備のついた武器庫の古参
をどう止めるかだ。
対処方法としては2点除去(間に合わせの武器
や急な落下
)の点数を上げるのが一般的だが、色によってはそれができないことも多い。
ここで意識したいのはタフネス4のクリーチャーの採用だ。
タフネス4のクリーチャーは隠し扉
や古参の迷路探索者
など、複数種類存在し人気も高くないのでピックも容易だ。
受け身のデッキの場合は、これらタフネスの高いクリーチャーを採用することでロングゲームを睨むことが可能となる。
青と緑の引き出しを持つ
前述したがこの環境では白黒赤の3色が特に人気で、緑と青(特に青)の不人気さが際立つ。青は特別弱いということはないが、デッキの軸となるカードが少なく敬遠されがち。
ドラフトの勝率を上げるためにも、比較的不人気である青や緑を使ったデッキの経験値を積むことが重要となる。
各色のおすすめコモン
白
カード名 | コメント |
---|---|
不動のパラディン | 非常に優秀なクリーチャー。装備品との相性も良くライフを回復した際に誘発するカードのある今環境では特に優秀な1枚。 |
幽閉 | リスクのある万能除去。割られたり、相手のマナになるため相手を助ける場合もあるが万能パーマネント除去は優秀。 |
古代の伝承の僧侶 | 損のないクリーチャー。ライフ回復シナジーがある点も見逃せない。 |
青
カード名 | コメント |
---|---|
ステュギアの末裔 | 効果は不確定だが一時的に相手のクリーチャーをタップさせられるクリーチャー。ダメージレースをごまかしたり、インスタントタイミングでダイスを振ることもできる。 |
魔法の眠り | 青の確定除去。生け贄に捧げられたりエンチャントを割られたりもするが、除去の弱い青の中では優秀。 |
ジンの風予見者 | 単純にスタッツの良いクリーチャー。3/3飛行はこの環境では相当強い。 |
黒
カード名 | コメント |
---|---|
不気味な報奨 | 宝物が出る確定除去。黒のダブルシンボルなこと以外は文句なし。 |
急な落下 | 除去に探索が付いているカード。ダンジョンを踏破することでほぼ確定除去になる点もGood。 |
墓所のグール | 生け贄シナジーの核になるクリーチャー。ターンに1回制限という縛りはあるものの、 マナがかからずに生け贄に捧げることができ強力。 |
赤
カード名 | コメント |
---|---|
ホブゴブリンの隊長 | 赤の2マナ域として非常に優秀なクリーチャー。先制攻撃さえつけば、パワーを上げることでより強いクリーチャーにも向かっていける。 |
ドラゴンの火 | 今回の環境で最強といわれるコモン火力。ドラゴンボーナスはあるが無くても十分すぎるほど強い。 |
溜め込むオーガ | ジェネリック黄金架のドラゴン といわれるオーガ。殴るたびにダイスを振れるので、ダイスシナジーとも相性が良い。 |
緑
カード名 | コメント |
---|---|
アウルベア | 出るだけで1ドローでき、スタッツも4/4トランプルと優秀。 |
狩りの戦利品 | インスタントタイミングで打てる除去。接死クリーチャーとの相性の良さは言わずもがな。 |
アンダーダークのバジリスク | 序盤の弱い緑を支えるクリーチャー。予備の短剣 で接死ダメージを飛ばすことも可能。 |
色の組み合わせ
黒赤
今回の1番人気の色の組み合わせ。
アグロから宝物を使った多色構築まで、様々な戦略を使うことが可能。
除去も豊富な色だが特筆すべきは忠誠の代価
で、相手クリーチャーのコントロールを得たあと生け贄に捧げるパクリファイスと呼ばれる戦略だ。
今回、忠誠の代価
がコモンのカードということ・生け贄手段が豊富に用意されていることで狙いやすく強力な戦略となっている。
ドラフトピックの方針
低マナ圏のクリーチャーと除去を中心としてピックを進め、墓所のグール や命取りの論争 が取れたならば忠誠の代価 もピックしていきたい。
白赤
白赤も人気の組み合わせ。
特に装備品でのシナジーが豊富で、白赤の優秀な2マナ域のクリーチャーに装備するだけで継続的なコンバットが可能となり序盤から押していける。
中盤以降はアルボレーアのペガサス
や献身のパラディン
などで強化して攻めていくことが可能。
ドラフトピックの方針
2マナ圏のクリーチャーはどれも優秀なため比較的どれでもよい。
装備品は、白のものより赤のブーツ・オヴ・スピード
や決闘のレイピア
のほうが強力なのでそちらから取りたい。
軽い除去>2マナ圏のクリーチャー>装備品といった具合。
青赤
かなり癖のある組み合わせ。
テーマとしてはダイスロールシナジーがあり、バーバリアン・クラス
やピクシーの案内人
で振るダイスを増やす事が可能。ただし、それらだけではあまり機能しないため、デッキ構築をどれだけダイスロールに寄せるかがカギとなる。
ドラフトピックの方針
暴走魔導士、デリーナ やバーバリアン・クラス など、ダイスロールすることで恩恵があるカードがピックできた場合はダイスロールシナジーに寄せる価値がある。
ダイスロールに寄せない場合は、火力とドロー呪文でコントロール気味に構築すると戦えるデッキになりやすい。隠し扉 は序盤~終盤までコントロール系のデッキと相性が良くお勧めできる。
白青
今まで通りの地上を止めて空から殴るといった構築をするとなかなか勝てない。
今回の白青のカードには、コンバットを有利に進めるためのショッキング・グラスプ
やステュギアの末裔
はあるものの序盤から攻撃できる飛行クロックが無く、飛行クリーチャーのタフネスも3が中心のため除去耐性も薄い。
そのため基本的には白の低マナクリーチャーを中心に序盤から攻めていき、絆魂や前述のコンバットトリックでダメージレースを優位に進めていく構築が勝ちやすい。
テーマとして探索があるが、踏破を狙うのも難しい。基本的にはファンデルヴァーの失われた鉱山 を中心として探索を行い、細かくアドバンテージを稼いでいきたい。
ドラフトピックの方針
不動のパラディン
や古代の伝承の僧侶
が軸となる。
色の性質上どうしても除去が弱くなるため幽閉
は多少優先順位を上げてピックしたい。魔法の眠り
でもよいがダブルシンボルのため青を濃くする必要があり、青を濃くするとデッキが弱くなりやすいので注意が必要。
白黒
テーマとしては探索と墓地活用があるが、どちらも狙っていくというよりはオマケ程度で考えたい。
基本的には優秀なクリーチャーと除去で盤面を抑えていく形になる。
ただし色々なカードに探索が付いているため、通常の色の組み合わせより格段にダンジョン探索がしやすい。
そのため、宝物トークンによる多色化など戦略の幅は意外と広い。
ドラフトピックの方針
何はなくとも除去。クリーチャーは最悪悪意のビホルダー
でもなんとかなる。
除去がある程度取れているとゾンビ・オーガ
もかなり強く運用できるため、高マナ域のカードが薄い場合はおすすめだ。
青緑
ランプ戦略という、土地を伸ばして大きなアクションを得意とする色の組み合わせ。
今回3マナに賢い妖術師
とファインド・ザ・パス
といったマナ加速が多いため、マナを伸ばすことに関しては比較的やりやすい。
問題としては、序盤が非常に守りにくく弱いため君は川にたどり着いた やアンダーダークのバジリスク で何とか誤魔化して群喰らいのヒル・ジャイアント などの大型クリーチャーにつなげたい。
ドラフトピックの方針
序盤を耐えて、マナ加速して、大型クリーチャーの流れを意識し、これらをバランスよくピックしていく必要がある。
大型クリーチャーは最悪替えが効くため、序盤のクリーチャーや除去・マナ加速を優先させたい。
赤緑
キーワードはパワー6以上での攻撃で誘発する集団戦術。
基本的にはパワー3を2体で攻撃することで実現するが、肝心のノールの狩人
のパワーの初期値が2のため、パワー4の月の円環のドルイド
や装備品での底上げが必要。
ドラフトピックの方針
念頭に置きたいのはいかにパワー6以上を作るか。
武勇の歌い手
や鼓舞するバード
は中盤のクリーチャーとしては優秀。
どうしても攻撃が軸になるので、雄牛の筋力
は攻防を兼ねるカードであり複数枚あっても問題ない。
黒緑
このターンクリーチャーが死亡していたら~誘発がキーワード。
基本的には、攻めるより受けるイメージで除去の優先順位を上げて構築したい。
死亡時誘発させるために自身のクリーチャーを生け贄に捧げることも多く、命取りの論争
+よろめく怪異
の組み合わせは使いやすい。
ドラフトピックの方針
除去優先でピックを進め、ゾンビ・オーガ やアウルベア などのクリーチャーでアドバンテージの差を広げていくことを目指す。
生け贄手段を豊富に用意できた場合は、タッチ赤をして忠誠の代価 を使うことも検討したい。
青黒
ブロックされなかった場合に~誘発がテーマの青黒。
コモンでは盗人の道具
、アンコモンではフライ
などを使い財宝荒らし
や魂刀のスパイ
でアドバンテージを稼いでいきたい。疑似的にステュギアの末裔
でこじ開けることも可能だが、相手にブロッカーが複数立つ中盤以降にも殴れるような工夫はしておきたい。
ドラフトピックの方針
『ブロックされない』にフィーチャーしてピックを進めるか、除去を中心としてコントロール気味でピックするかで大きく変わる。
特に魂刀のスパイ
はサポートがないとほぼすべてのクリーチャーと相打ちしてしまうため、中々アドバンテージを稼ぎにくい。コントロールというよりはアンブロシナジーと一緒に使いたい。
白緑
ザ・絆魂。
天界のユニコーン
や月の踊り手、トレラッサーラ
(Trelasarra, Moon Dancer
)などのライフを得ると+1+1カウンターが乗るクリーチャーをいかに大きくできるかがポイントとなる。
ライフを得る手段はある程度用意されているが、継続的にライフを得ることが重要。
絆魂クリーチャーや森の導き手
で攻撃し続けることで実現させたい。
ドラフトピックの方針
いかにライフを得るかが大事となっており裕福な亭主
は特に優秀な1枚。
天界のユニコーン
や月の踊り手、トレラッサーラ
(Trelasarra, Moon Dancer
)もキーカードではあるが、比較的取りやすいので急いでピックしなくても問題は少ない。
序盤のブロッカーとしては隠れ潜むローパー
も優秀であり、アンタップしないデメリットも白緑なら疑似警戒持ちとして運用できるのでお勧めだ。