基本セット2020リミテッド環境の特徴
プロテクション・色対策カードの復活
プロテクションおよび色対策カードはアリーナのBO1ではあまり恩恵を受けないが、サイドボードありのゲームの場面では非常に強力となる。ドラフトの場合、他の色にデッキの色を変えることが難しいため、これらの能力を持つカードが非常に効果的なことが多い。ピックの段階で意識してピックしていきたい。
BO1の場合、色対策カードは基本的に入れないが、環境に緑系が多いため害悪な掌握はカードが足りなかった時にメインから投入することもある。
トリプルシンボル・サイクル
レア・神話レアに存在し、強い!しかし重いのが特徴のトリプルシンボル・サイクルのカード。
重さから遠慮する人もいるが、基本的に全部強いので血の取引者、ヴィリスであっても初手で取るに十分な強さがある。
もちろんデッキ構築でちゃんと出る形にする必要があるが、各色の騎兵をはじめゲームを決める強さがあるので是非使いたいところ。
5マナの騎兵なら10枚、7マナのレアなら最低7枚ぐらいの色の合った土地があれば現実的にキャスト可能。
一部コモンカードのスペックが強化
以前アンコモンだった殺害をはじめ雲族の予見者、シルバーバックの巫師あたりはアンコモン並みの強さがある。青・黒・緑の3色はこれらをはじめとする一般的に強いと言われるコモンを多く有しているため人気の色となっている。
ドラフトの戦略について
端的に『どの色の組み合わせの勝率が良いか』というのが気になるところだと思う。
アリーナBO1環境での個人的な体感では以下のような形となる。
青黒緑の3色からの組み合わせが強い。
コモンのカードの強さがそのまま色の組み合わせの強さに影響している。
通常だと除去のない色であるはずの青緑も狂気の一咬み・金縛りのおかげでいっぱしに除去をしてくる。特に青緑にある発現する浅瀬は、除去されなければ莫大なアドバンテージを稼いでくれるクリーチャーで青緑人気に一役買っている。
各色個別の説明は別の項目で取り上げるのでそちらを参考にしてもらいたい。
全体的に赤のカードの点数が低いのは、飛行への耐性が薄い色であること・コモンに癖のあるカードが多いこと・攻め方が基本地上しかなく、攻撃を通しにくいことが主な理由として挙げられる。
もちろんゴブリンの密輸人を活かした攻撃は魅力の一つだがイマイチ感は否めない。
アリーナBO1の特徴
実際のドラフトとアリーナのBO1ドラフトでは戦略が若干異なる。
上述したように、コモンの点数では青の点数がほかに比べて高い。
そのためアリーナのAIは、時に他の色のアンコモンより青のコモンカードをピックするため青系のデッキが作りにくい。故に対戦相手も比較的ピックしやすい緑系のデッキが多くなる。
ただこれは時とともに変化するものであり、実際リリース直後は青色のカードが好きなだけとれたため皆青くなり、青いデッキに対して強力なアーティファクトである心臓貫きの弓を山ほど取るという戦略も有効であった。
現在は対戦相手に青いデッキが少なくなり、心臓貫きの弓が効果的でない場合が多いためこの戦略は下火になっている。
ドラフトピックの方針
ピックの方針①
初手の方針:
極力強いレアから取りたいがこればかりは運なので、レアがしょぼくてもめげない。
デッキのキーカードになりやすいマルチカラーのアンコモンや殺害などの使いやすい除去からピックしていきたい。その際、同じ色のカードがたくさんある中から選ぶ場合は下家(下流)と被る可能性があることを意識しておく。
ピック方針②
色の組み合わせを考えてピックする:
向かっている色の組み合わせが白緑であるならば、枝葉族のドルイドよりケンタウルスの狩猟者を優先する(殴る構成にするため)だったり、マンモスグモは黒緑系のコントロールでは数枚ほしいが、アグロ系ではメインボードに入れないことが多いので後回しにするなど。
ピック方針③
タフネス1の枚数に気を付ける:
アリーナでは特に心臓貫きの弓が人気となっており、構成によっては完封されてしまうこともある。心臓貫きの弓は相手がタフネス1や2を多くコントロールしていて、こちらが攻撃できる展開の時には非常に強力だが、後手に回る展開や 緑系のタフネスが大きいクリーチャー中心のデッキには無力のため基本的にサイドボードカードで、アリーナのBO1では基本採用しないほうがよい。
ピック方針④
色替えに気を配る:
前述したようにアリーナのAIの青の点数が非常に高く青いカードが回ってこないことも多々ある。その場合色は違うが強力なカードをピックすることで、色替えの選択肢を作ることができる。後続の流れを見てデッキの方向性を変えることも視野に入れておきたい。
ピック方針⑤
2マナ圏のクリーチャーについて:
各色・各種2マナクリーチャーが存在するが、今回のリミテッドにおいて1/3クリーチャーの評価が通常より低くなっている。
原因は大胆な盗人や血の強盗などの攻撃され続けると状況が厳しくなるクリーチャーの存在である。特に大胆な盗人は継続的に殴り続けるだけでアドバンテージを稼ぐことができるので、できることであれば早い段階で対処したい。そのため、それらと同程度のコストで相討ちを狙える2マナ2/2にはそれだけで価値があることになる。ブロッカーとしての1/3では意味が薄く2/2のほうが良い点はここにある。
各色の組み合わせについて
白青
今回天穹の鷲というロードの存在もあり、昔から人気の地上を止めて空から殴る色の組み合わせ。ただし今回は緑に2種類の蜘蛛がいることや、普段なら地上で止めて空から殴ることができたが、今回地上クリーチャーのパワーが非常に高くすれ違って殴れないこともありいつもより難しい。
構築時には、相手の蜘蛛への対処およびパワーが高いクリーチャーとのすれ違いのダメージレースを制するために霜のオオヤマネコや送還などのカードを意識的にピックしていきたい。
白黒
ライフゲインシナジーが主軸の色の組み合わせ。
大胆な盗人を天使の贈り物で飛ばしたり、魂癒し人と血に飢えた曲芸師のコンボが強力。殺害をはじめダブルシンボルのカードが白及び黒にありマナベースに負担がかかることが多いため、タップインランドや進化する未開地は取れるタイミングがあればとっておきたい。
BO1では関係ないが、白と黒は色対策カードが使いやすいため意識してピックすることでサイド後の勝率が変わる。
白赤
今回断トツの不人気カラー。白と赤というコモンの弱い色の組み合わせのため、強さの担保はレア・アンコモンに依存しやすい。
完成すれば実は結構強いデッキになるがアンコモン以上のレアリティを要求するため中々ハードルが高い。空騎士の先兵を軸としてゴブリンの密輸人でサポートして最終的に鼓舞する突撃で攻め込む形を目指したい。
白緑
白赤に比べて緑のコモンのクリーチャーのスペックが高いため比較的コモン中心でも強いデッキが組める白緑。基本はケンタウルスの狩猟者などで攻撃を仕掛け残忍な発動でバックアップする。
横並び戦略と1点強化という一見矛盾する組み合わせだが、相手にしてみるとブロックしずらい展開が多く中々強力。グリフィンの歩哨に残忍な発動を付け神々の思し召しでサポートしていくのも単純だが空からの突撃で死なない・チャンドラの憤慨で死なない…など色々強い。
青黒
人気の色の組み合わせ。単純にクリーチャーのスペックと除去のスペックが高い。
適当に除去して雲族の予見者や北方の精霊で殴っていれば勝てる。魂回収もありロングゲームにも強い。横並びへの対応が難しいため、白緑などの横並びデッキは若干苦手。
青赤
エレメンタルシナジーを活かしたクリーチャーで攻めていく形が主流。
稲妻の嵐族や焦がし吐きに狂った怒りを付けて早い段階でライフを攻めていく。
青赤という色の組み合わせだとゴブリンの鳥掴みが飛行しやすく戦力になりやすい。その他チャンドラの火炎猫から溶岩族の喧嘩屋などへ繋げるムーブを、霜のオオヤマネコでサポートしていくのも強力。とにかく殴るのが大事。
青緑
エレメンタルシナジー自体は実は発現する浅瀬とはびこる精霊ぐらいしかないが、コモンに強力なカードが複数ありデッキが強くなりやすい。シルバーバックの巫師を霜のオオヤマネコでサポートしてたら大体相手が爆発する。
青緑はシステムクリーチャーに触りにくい色なため、狂気の一咬みなどは早めに取っていきたい。もし用意できなかった場合は、アーティファクトの龍火の薬瓶などをサイドボード用に確保しておきたい。
黒赤
心臓貫きの弓を一番うまく使えるアーキタイプ。
オーガの包囲破りや深海艦隊の殺し屋と弓の相性は抜群。
基本的には大胆な盗人を各種除去でサポートしていく形が強力。除去を多めにピックし長引かせてコンボを完成させたり、魂回収などでロングゲームを制したい。
黒緑
単純にコモンが優秀な色の組み合わせ。強いクリーチャーと強い除去=強いデッキという方程式。
ロングゲームにして勝ちに行くため軽量除去は早めにピックしておきたい。比較的色も足しやすいため、フィニッシャー不足なら白や青の飛行をタッチすることも視野に入れておきたい。デッキ自体が柔軟なため人気のアーキタイプの一つ。
赤緑
基本的には赤緑のエレメンタルおよびシルバーバックの巫師を成長周期でバックアップしていく。
アリーナでも人気のアーキタイプではあるが、接死に弱かったり、除去コントロール等に弱かったりと弱点も多く中々難しい。蜘蛛を多めに入れてランプ気味に戦う形もある。